最高裁判所第二小法廷 昭和52年(オ)148号 判決
上告人
住友化学工業株式会社
右代表者
長谷川周重
右訴訟代理人
松本正一
外二名
被上告人
山本君吉
被上告人
田中英教
右両名訴訟代理人
山本秀師
外三名
主文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理由
上告代理人松本正一、同橋本勝、同森口悦克の上告理由一について
所論の点に関する原審の判断は、原審の確定した本件の事実関係のもとにおいては、いずれも正当として是認することができ、その過程に所論の違法はない。右違法のあることを前提とする所論違憲の主張は、その前提を欠く。論旨は、いずれも採用することができない。
同二について
原審の確定した事実関係によれば、被上告人らは、その就業時間外に本件ビラを配布したものであり、また、その配布場所は、上告会社の敷地内ではあるが事業所内ではない、上告会社の正門と歩道との間の広場であつて、当時一般人が自由に立ち入ることのできる格別上告会社の作業秩序や職場秩序が乱されるおそれのない場所であった、というのであるから、被上告人らの右ビラ配布行為は上告人の有する施設管理権を不当に侵害するものではないとして、これに対してされた本件懲戒処分を無効であるとした原審の判断は、本件ビラ配布が正当な組合活動であるかどうかを判断するまでもなく、正当として是認することができる。原判決に所論の違法はなく、右違法のあることを前提とする所論違憲の主張は、その前提を欠く。論旨は、ひつきよう、判決の結論に影響を及ぼさない点について原判決を非難するものであつて、採用することができない。
よつて、民訴法四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。
(木下忠良 大塚喜一郎 栗本一夫 塚本重頼 鹽野宜慶)
上告代理人松本正一、同橋本勝、同森口悦克の上告理由〈省略〉